医療保険に入らないと後悔する?考えられるリスクや必要性を解説

病室で悩む2人
目次

    「自分は健康だから大丈夫」「公的医療保険で十分だと思う」といった理由から、民間医療保険への加入を見送る方は少なくありません。しかし実際には、予期せぬ病気やケガで長期入院が必要になったり、先進医療での治療を行ったりすることで、医療費が高額になってしまうケースもあります。

    この記事では、民間医療保険に入らなかったことで後悔するケースや民間医療保険の加入率などについて解説します。加入を検討する際に押さえておきたいポイントにもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

    医療保険に入らないことで後悔するケース

    医療保険は大きく分けると、「公的医療保険」と「民間医療保険」の2種類があります。民間医療保険に入らない場合、どのようなときに後悔するのでしょうか。まずは、保険の仕組みから見ていきましょう。

    <保険の種類>

    公的保険制度:国や地方自治体が運営する保険で、加入義務がある

    民間保険:保険会社が運営する保険で任意加入。公的保険制度で足りない分を補完する役割がある

    日本では公的医療保険により、医療費の自己負担を1~3割に抑えられます。さらに、ひと月の医療機関での窓口負担額が自己負担限度額を超えた場合、その超えた金額が支給される高額療養費制度もあります。高額な医療費がかかったとしても、最終的な負担は一定額に収まる仕組みです。

    一方で、公的医療保険だけですべての費用をカバーできるわけではありません。特に、差額ベッド代・入院時の食事代・先進医療の技術料などは、公的医療保険の対象外となるため、全額自己負担となります。

    公的医療保険でカバーされない費用の例は以下のとおりです。

    ■公的医療保険でカバーされない費用の例

    公的医療保険でカバーされない費用の例自己負担額の平均
    差額ベッド代
    (2024年8月1日時点)
    6,862円
    (1日あたり・1人室から4人室までの全平均)
    食事代
    (2025年12月時点)
    1,530円
    (一般所得者1食あたり510円・3食分)
    先進医療:陽子線治療
    (2023年7月1日~2024年6月30日)
    267万9,335円
    (1件あたり)
    先進医療:重粒子線治療
    (2023年7月1日~2024年6月30日)
    314万4,880円
    (1件あたり)

    出典:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」[PDF:205KB]新規ウィンドウを開きます

    出典:厚生労働省「入院時の食費の基準の見直し」[PDF:179KB]新規ウィンドウを開きます

    出典:厚生労働省「令和6年6月30日時点における先進医療に係る費用 令和6年度実績報告(令和5年7月1日~令和6年6月30日)」[PDF:56.5KB]新規ウィンドウを開きますより算出

    ここでは、病気やケガといった予期せぬ事態が起きたとき、後悔につながりやすい具体的なケースを見ていきましょう。

    想定外の医療費負担で家計が圧迫されたとき

    民間医療保険に加入していない場合、公的医療保険ではカバーできない費用が想定以上に大きくなり、家計を圧迫することがあります。たとえば、がん治療や長期入院などで高額な医療費がかかると、貯蓄だけでは対応しきれず、家族の経済的負担につながるケースもあります。

    公益財団法人生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担費用(治療費・食事代・差額ベッド代に加えて、見舞いに来る家族の交通費、衣類、日用品などを含む)の平均は、1日あたり2万4,300円です。この金額は、高額療養費制度を利用した場合と、利用しなかった場合が含まれます。

    こうした費用が重なると家計に与える影響は大きくなり、負担を感じる場面も増えるでしょう。

    出典:公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」[PDF:7.46MB]新規ウィンドウを開きます

    病気やケガで働けず、長期間収入が減少したとき

    病気やケガで長期間働けなくなると、収入が減り、生活費の確保が難しくなる場合もあります。同調査では、入院によって収入が減った方の減少額は平均27万3,000円という結果が出ています。

    会社員や公務員が加入する健康保険では、働けない期間の収入を補う制度として「傷病手当金」があり、休職中でも月給の約3分の2が最長1年半支給されますが、収入が満額保障されるわけではありません。

    一方、自営業者やフリーランスの方が加入する国民健康保険では傷病手当金の制度がないため、収入減のリスクがより大きいといえるでしょう。

    出典:公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」[PDF:7.46MB]新規ウィンドウを開きます

    病気やケガをしたあとに、希望の保険に加入できなかったとき

    病気やケガをしたあとでは、希望する民間医療保険に加入できない場合があります。

    民間医療保険は加入時に健康状態の告知が必要なため、持病や既往歴がある場合は加入できなかったり、保険料が割高になったりすることがあります。こうした事情から、「もっと早く民間医療保険に加入しておけばよかった」と感じるケースも少なくありません。

    治療の選択肢が狭まったとき

    公的医療保険の対象外となる治療費を自己負担でまかなえない場合、選べる治療の幅が狭まり、身体的・精神的な負担が大きくなるケースも考えられます。

    先進医療の技術料や自由診療は公的医療保険の対象外のため、高額な費用を全額自己負担しなければなりません。たとえば、先進医療の陽子線治療では、1件あたりの自己負担平均額が267万9,335円にもなります。

    特に先進医療を受けたい場合などは、民間医療保険に加入しているか否かが大きな差につながるでしょう。

    出典:厚生労働省「令和6年6月30日時点における先進医療に係る費用 令和6年度実績報告(令和5年7月1日~令和6年6月30日)[PDF:56.5KB]新規ウィンドウを開きますより算出

    医療保険は不要だと考える方の主な理由

    民間医療保険が不要だと判断される背景には、さまざまな理由があります。詳しく見ていきましょう。

    公的医療保険制度が充実しているため

    日本の公的医療保険制度は手厚く、標準的な治療であれば医療費の窓口負担は1~3割に抑えられます。加えて、高額な医療費が発生した場合でも、高額療養費制度によってひと月の自己負担額には上限があります。

    こうした仕組みによって「公的医療保険だけで十分」と考え、民間医療保険への加入を見送る方も少なくありません。

    傷病手当金で収入減に対応できるため

    会社員や公務員は、病気やケガで働けなくなると健康保険から傷病手当金が支給されます。この制度によって一定の収入が確保できるため、民間医療保険の加入は不要と考える方もいます。

    健康に自信があり、リスクが低いと考えるため

    日頃の健康管理に気を配っている方や、若くて体力に自信がある方は「自分は病気にならない」と感じやすく、医療保険の加入を見送るケースがあります。

    これまで大きな病気やケガを経験していない場合、リスクを実感しにくいことも、医療保険の必要性を感じない理由の1つです。

    保険料の支払いを避けたいと考えているため

    通帳を見る男性

    家計の負担をできるだけ抑えたいといった思いから、民間医療保険の保険料を継続して支払うことにためらいを感じる方もいます。

    また、万が一への備えについても「保険に頼るより自分で資産運用したほうが効率的」と考えるケースもあります。さらに、医療費を自己負担しても家計に大きな影響が出ないほど資産に余裕がある方は、民間医療保険の必要性を感じず、貯蓄でまかなうという選択をすることもあるでしょう。

    民間医療保険の加入状況

    ここまでに記載した理由から民間医療保険への加入を見送る方もいる一方、実際にはどれくらいの方が万が一に備えて民間医療保険に加入しているのでしょうか。

    公益財団法人生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、民間医療保険(疾病入院給付金のある生命保険)の加入率は全体で65.6%でした。これは、国民の3分の2近くが、公的医療保険に加えて民間医療保険でリスクに備えていることを示しています。

    出典:公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」[PDF:7.46MB]新規ウィンドウを開きます

    医療保険に入らないと後悔しやすい方の特徴

    民間医療保険は必ず加入しなければならないわけではありませんが、加入していないことで思わぬ負担や不安が大きくなる場合もあります。ここでは、公的医療保険だけでは対応が難しく、特に後悔につながりやすい方の特徴を紹介します。

    貯蓄が少ない、または貯蓄を医療費にあてたくない方

    貯蓄が少ない場合、突発的な医療費に対応できず、家計の収支バランスを崩すリスクが高くなります。たとえ短期間の入院であっても、手術を伴えばまとまったお金が必要になることもあります。

    また、継続的な治療が必要になった場合は、貯金だけでは費用をまかないきれない可能性もあるでしょう。将来のために蓄えていたお金を医療費にあてなければならない状況になることも考えられます。

    子どもを養っている方

    治療が長引いた場合、家族の生活費のほか、子どもの教育費や進路の選択にも影響を与える可能性があります。収入が減る状況が続くと、これまで通りの生活を維持することが難しくなる場合もあるでしょう。

    自営業者・フリーランスの方

    自営業者やフリーランスの方は、会社員や公務員と異なり、有給休暇のような社内制度や傷病手当金などの社会的な保障が原則としてありません。そのため、病気やケガで働けなくなると、その間の収入がゼロになってしまうリスクが高いといえます。

    短期間であっても、仕事ができない状態がそのまま収入減に直結する点は、大きな負担となるでしょう。

    医療保険の加入を検討する際のポイント

    これまでの内容を踏まえ、後悔しないように医療保険を検討するポイントを紹介します。

    保障内容と必要な特約を確認する

    民間医療保険を選ぶ際は、まず入院給付金や手術給付金の金額、そして支払われる条件を確認することが大切です。また、公的医療保険の対象外となる費用に備えるため、先進医療特約や差額ベッド代などの特約が付けられるかどうかも確認しましょう。

    さらに、通院保障や特定疾病保障など、自分のリスクに合った特約を組み合わせることで、保障内容をより手厚くできます。

    保険料と保障のバランスを考慮する

    月々の保険料が家計に無理なく支払えるかどうかも、重要なポイントです。掛け捨て型と貯蓄型の特徴を理解し、保障内容と保険料のバランスを比較したうえで、自分のライフプランに合ったタイプを選択することも大切です。

    「医療保険に入ればよかった」と後悔しないために、備えを検討しよう

    健康なうちは民間医療保険の必要性を感じにくいものですが、いつ病気やケガをするかわかりません。いざというときに想定外の費用が発生すると、「入っておけばよかった」と後悔するケースもあります。民間医療保険はすべての方に必要というわけではありませんが、加入するか否かを判断する際には、貯蓄状況や収入構造、家族構成、希望する治療の選択肢などを総合的に考えることが大切です。

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    B2-25-J-0243(2026.02.19)

    監修者プロフィール
    ファイナンシャル・プランナー 辻田 陽子 さん

    ファイナンシャル・プランナー

    辻田 陽子 さん

    FPサテライト所属ファイナンシャル・プランナー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、日商簿記2級。
    税理士事務所、金融機関での経験を経て、FP資格を取得。それぞれのライフイベントでのお金の不安や悩みを減らし、人々がより豊かで自由な人生を送る手助けをすべく活動中。

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    • 掲載している内容は、2026年2月19日時点のものです。
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