【FP監修】シニア・高齢者必見!死亡保険は70歳を過ぎても必要?賢い備え方とは

ベンチに座る老夫婦
目次

    シニア・高齢者の中には、死亡保険への加入を検討している人もいるかもしれません。一方で、「万が一の際に必要な費用は、若いときに加入した生命保険があるから大丈夫」と考えている人も多いのではないでしょうか。

    この記事では、シニア世代、高齢者の方向けに死亡保険の必要性を解説します。併せて、万が一に備えるための費用や対処法も紹介します。

    【シニア・高齢者】保険の見直しをしないとどうなる?

    見直しをする夫婦

    保険を、若い頃に加入したままにしていませんか。シニア世代、高齢者が保険の見直しを怠ると、思いがけないトラブルが発生する可能性があります。まずは、保険の見直しの必要性を説明します。

    保障金額が減額されて必要な保障を受けられない

    若い頃に加入したまま、保険を見直さずにいると、何かあった際に必要な保険金や給付金を受け取れない可能性があります。加入時に、自分がシニア・高齢者となった際に必要な金額を把握できていたとは限りません。保険金や給付金が不足しているケースでは、金銭面で家族に迷惑をかけることもあり得るでしょう。

    とはいえ、過剰である必要もありません。保障が充実しているのは悪いことではありませんが、過不足のないよう自分にあった保障内容かを確認し、適宜見直していきましょう。

    シニア・高齢者が保険を見直す際のポイントは?

    保険を見直す際は、まず「誰の」「何のための」保険なのかを整理しましょう。保険は不測の事態に備えるためのものです。そういう意味で、現在加入している保険は、どのような目的で加入したものですか?

    「家族の生活費のため」「葬儀費用のため」など、さまざまな理由があるでしょう。必要な保障は何か、必要な保障額はいくらか、保障期間はいつまであれば安心か、こうしたポイントを確認してみましょう。家族と一緒に見直すと、保障内容を共有できて、おすすめです。

    【シニア・高齢者】死亡保険はなぜ必要?理由を紹介

    INSURANCE

    「仕事も引退したし、子どもも独り立ちしている。何より高齢だから、今から保険なんて必要ないよ」と、考えている人も多いかもしれません。確かに、老後に贅沢な暮らしをしないのであれば、自分や家族の生活面に関する保険は不要でしょう。

    しかし、人の死後には葬儀代や墓石の購入に数十万~数百万円の費用がかかります。自分自身と家族のために、保険について改めて考えても損ではないでしょう。

    ここでは、死亡保険加入を考えたい理由について紹介します。

    死亡保険への加入を考えたい理由

    シニア世代の人々が死亡保険を検討したほうがよい理由は、主に2つあります。

    1つ目は、葬儀代の補填のためです。人が亡くなると、銀行口座は即座に凍結されます(ただし、遺産分割前でも150万円を上限に引き出し可)。すると遺された家族は、自分たちの貯蓄から故人の葬儀代を負担する可能性が高くなります。

    「自分の葬式代は自分の口座に用意してある」としても、葬儀は故人が亡くなってからすぐに執り行われます。そのため、葬儀前に遺産分割協議などの相続手続きの時間を取ることは難しく、故人の口座から葬儀代を引き出すまでに時間がかかります。

    いっぽうで、生命保険から受け取る死亡保険金は、もともと受取人を指定してあるので、受け取るまでに遺産分割協議書を作成する必要はありません。死亡保険金の受取人を指定しておくだけで、家族が保険金を葬儀代に充てるのが容易になります。遺された家族の負担を減らすためにも、葬儀代をすぐ用意できるよう対策を立てておくとよいでしょう。

    2つ目は、保険を利用した相続対策にあります。死亡保険金には一定の非課税枠があるためです。一般的に、預貯金は死亡時の保有金額すべてが相続財産になりますが、死亡保険金は非課税枠を超えた分のみが相続財産として、預貯金などに加算されます。事前に備えておけば、相続対策にも役立ちます。

    そもそも死亡保険ってどんな保険?役割は?

    死亡保険とは、生命保険の一種です。生命保険では、人の生死や疾病、ケガの状態などに関して保険金が支払われ、死亡保険は人が亡くなったときに保険金が支払われます。

    一方、生存保険というものもあります。生存保険は、人が保険期間の満期まで生きていることによって保険金が支払われる保険です。個人年金保険が生存保険の代表的な存在で、たとえば65歳から10年間など、生存している場合に生存保険金として年金が支払われます。また、保証期間付の個人年金保険であれば、保証期間内に死亡した場合は、未払い分の年金または一時金が受取人に支払われます。

    では、医療保険と死亡保険の違いはご存じでしょうか。前者は、保障されている内容が「病気やケガ」、後者は「死亡」という点に違いがあります。また、医療保険の場合、給付金の受取人は本人ですが、死亡保険金の受取人は家族など本人以外になる点も異なります。

    受取人の違いからも、死亡保険への加入は「遺していく家族のため」ということがわかります。自分の死後にかかる家族への負担を少なくしたい人は、死亡保険の保険金額が適切に得られているかを確認する必要があります。

    万が一の際にかかる金額っていくら?|70歳・80歳の場合

    PCとお金と電卓

    それでは、実際に人が亡くなるとどのくらい費用がかかるか、ご存じでしょうか。
    ここからは、万が一の際にかかる費用を項目別に紹介します。

    葬儀費用

    当社(SBIいきいき少額短期保険)の「“終活・葬儀”に関するアンケート調査(2023年度)」では、葬儀費用の平均額は「約152万円」でした。

    葬儀費用は規模によってかかる金額が異なり、飲食費と返礼費は参列人数に応じて変わります。参列者の人数を事前に想定するのは難しいですが、葬儀にかけられる予算については、事前に家族と話し合っておくとよいでしょう。

    墓石代

    ひとくちに墓石代といっても、「石を買って終了」というわけではありません。次の3種の費用がかかります。

    • 墓石代
    • 永代使用料
    • 管理料

    「墓石代」は、お墓本体や外柵など石材にかかる費用を指します。「永代使用料」は、墓地や霊園にある土地を借りる費用です。「管理料」は、墓地や霊園にお墓を管理してもらうために定期的に支払う費用です。

    一般社団法人全国優良石材店の会の「2024年お墓購入者アンケート調査」によると、墓石の平均購入価格は171万円で、葬儀費用と合わせると300万円以上が必要になる可能性もあるといえます。

    出典:一般社団法人全国優良石材店の会「2024年お墓購入者アンケート調査」新規ウィンドウを開きます

    家族の生活費

    総務省の発表した「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、2人以上世帯の消費支出の月平均額は「300,243円」となっています。年額にすると「3,602,916円」です。

    保険に加入しておけば、遺していく家族に生活費を渡すことができます。死亡保険金は、「500万円×法定相続人数」の合計額までは、相続財産に加算しなくてもよいとするルール(非課税枠)があります。

    この制度を利用して相続対策を立てるとともに、家族へ生活費を渡せます。

    出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」[PDF:577KB]新規ウィンドウを開きます

    遺品整理代

    遺品整理は、家族が行う場合は無料です。しかし、押し入れやタンスの中はもちろん、洗面所、冷蔵庫など家中すべての不用品を片付けるのは重労働でしょう。

    家族が現役で働いている場合、仕事の合間や週末に家の片付け作業へ取り掛かることになります。負担が大きいだけでなく、体調を崩す可能性も否定できません。

    総務省が2020年に公表した「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」では、遺品整理にかかる費用は見積段階で10~40万円が多くなっていました。

    墓石代の171万円と遺品整理代を合わせると、合計で200万円近くかかります。さらに、墓石を置いている寺や霊園へ払う管理料もかかり続けるため、配偶者だけではなく、子どもたちへの負担が続くことも知っておく必要があります。

    高齢者・シニアの死亡保険金はいくら必要?備え方について

    団らん

    次は、高齢者やシニアが備えておきたい死亡保険金の金額について紹介します。

    死亡保険金で必要な額

    公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯の場合、死亡保険金の平均額は世帯あたり1,936万円でした。ただ、死亡保険金で必要な金額は個人の環境によって異なるため、必ずしも2,000万円が必要ではないでしょう。

    ここでは、死亡保険金で必要になる金額の目安を算出する方法を説明します。

    まず、年金だけでは老後の生活費に赤字が出そうな場合は、月々の生活費から遺族年金や働いて得られる収入を差し引いてみて、90歳や95歳までの年数をかけます。その赤字額と葬儀代の合計が貯蓄を上回る分を死亡保険金でまかなえればOKです。

    自営業の人は、計算時に注意が必要です。遺された配偶者が専業主婦の場合、遺族厚生年金や遺族基礎年金を受け取れません。そのため、貯蓄と家族が働いて得る収入のみで万が一の際の費用を支払うことになります。

    出典:公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」[PDF:7.4MB]新規ウィンドウを開きます

    家族は公的保障(遺族年金)を受け取れる?

    死亡時に受け取れる公的保障として「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」があります。遺族厚生年金は、厚生年金に加入している方が死亡した場合に支給されます。

    また、要件を満たすことで、妻が65歳になるまでは「中高齢寡婦加算」という名前の年金を受け取れます。「中高齢寡婦加算」では子どもがいなくとも、夫の死亡時に妻が40~64歳であれば年額623,800円(2025年度時点)を受け取れます。

    遺族基礎年金は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」「子」が受け取ることができます。シニア世代の場合、子どもたちは高校を卒業していることが多いでしょう。この場合、「子のある配偶者」ではなく、「子のいない配偶者」と同様の扱いとなり、「遺族基礎年金」は受け取れません。

    厚生年金に加入していない働き方をしている人は、遺された家族の負担を軽減するためにも、公的保障以外の対策を考えましょう。

    出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和7年度版」[PDF:1.62MB]新規ウィンドウを開きます

    不足を補うために保険がおすすめ!

    保険は、万が一の際に必要なお金が不足することを避けるためのものです。貯蓄が十分だと思われるくらいあり、遺された家族の生活への影響がほとんどないのであれば、保険に加入する必要はないかもしれません。

    しかし、すべての人に潤沢な貯金があるわけではないですし、場合によっては家族が遺族年金を受け取れず、自身の経済力だけで葬儀代や墓石代を賄わなければならない可能性があることは覚えておきましょう。

    備えあれば憂いなしといいます。万が一の際に、遺していく家族に負担をかけてしまう不安がある場合は、保険への加入を考えましょう。

    死亡保険は何歳まで入れる?死亡保険の保険料シミュレーション

    SBIいきいき少短の死亡保険

    後期高齢者になる75歳以上では、新規に保険に加入しづらくなるケースも少なくありませんが、「SBIいきいき少短の死亡保険」であれば、84歳まで申し込みできます。

    「万が一の際に、家族にお金の心配をかけたくない」「自分のお葬式代くらいは自分で用意したい」といった考えを持っている人におすすめです。

    死亡保険金の金額別に6つのコースを用意しています。100万円コースであれば、死亡保険金は100万円となります。

    手ごろな保険を検討しているお葬式代から遺品整理まで家族の生活費まで備えたい
    100万円コース300万円コース500万円コース
    200万円コース400万円コース600万円コース

    70歳、75歳、80歳を例にとって保険料のシミュレーションをしてみましょう。

    満年齢男性女性
    100万円200万円300万円100万円200万円300万円
    70歳3,610円/月7,220円/月10,830円/月1,660円/月3,320円/月4,980円/月
    75歳5,420円/月10,840円/月16,260円/月2,580円/月5,160円/月7,740円/月
    80歳8,970円/月17,940円/月26,910円/月4,800円/月9,600円/月14,400円/月

    「終活について考え始めた」という70歳の人が100万円コースに申し込んだ場合、男性なら月々3,610円、女性なら月々1,660円の保険料で、家族のためのお金を用意できます(保険料は年齢・性別・加入コースによって変わります)。

    シニア・高齢者は万が一に備えて死亡保険への加入を検討しよう

    70代・80代になると、家族のための手厚い保障は不要になりますが、自分に万が一のことがあった場合、遺された配偶者は減ってしまう年金で暮らすことになります。同時に葬儀代の負担も軽くはないでしょう。

    自身の葬儀代、配偶者の当面の生活費など不安な点を明確にし、それをカバーする保険に加入することで、安心して暮らしましょう。

    B2-25-J-0144(2025.08.13)

    監修者プロフィール
    ファイナンシャルプランナー 畠中 雅子 さん

    ファイナンシャル・プランナー

    畠中 雅子 さん

    大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャル・プランナーになる。
    新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。
    教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、主にひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。
    著書は、『貯蓄1000万円以下でも老後は暮らせる!』(すばる舎)、『息子、娘が中高年ひきこもりでもどうにかなるって本当ですか?』(時事通信社)ほか、70冊を超える。
    プライベートでは、社会人の娘と息子、大学生の息子の3人の子どもの母。

    • 掲載している内容は、2025年8月13日時点のものです。
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